2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

原りょう 『愚か者死すべし』(早川書房)

再読。初読時には長年待たされたわりには今ひとつだと思ったのだが、再読してみると細かいことはあまり気にならず面白く読めた。沢崎が作中の登場人物からも好かれすぎているのはちょっとどうかと思わないでもない。

藤枝静男 『凶徒津田三蔵』(講談社文庫)

藤枝静男は何故二度も大津事件を題材に小説を書いたのか。『凶徒津田三蔵』での津田三蔵は『ある年の冬 ある年の夏』の寺沢と近しい存在であるので、まだわかるが、津田三蔵、明治天皇、畠山勇子、児島惟謙の四人を同列に描いた『愛国者たち』のほうはいささ…

フィリップ・K・ディック/浅倉久志 他 訳 『模造記憶』(新潮文庫)

新潮社だからなのかどうなのかはわからないが、なにやらバラエティに富んだ短編集。『不屈の蛙』『あんな目はごめんだ』『ぶざまなオルフェウス』などはお馬鹿なギャグSFで、長編のイメージが強いのでちょっと意外だった。『逃避シンドローム』『逆まわり…

文学フリマ参戦告知

11月12日に開催される文学フリマに、こっそり入部していたはてなグループ「ファック文芸部」の一員として参加します。 執筆と編集を担当しました。一応編集長ということになってます。 小説など書いているということは僕にとって恥ずかしいことで、あまり大…

10月15日の購入

梨木香歩 『家守綺譚』(新潮社) 森茉莉 『私の美の世界』(新潮文庫)

本日までの読書

梨木香歩 『家守綺譚』(新潮文庫) 藤枝静男 『凶徒津田三蔵』(『凶徒津田三蔵』講談社)少し。

梨木香歩 『家守綺譚』(新潮文庫)

普通に楽しく読んでしまうと、「楽しく読んだ」以上の感想が出てこないので困る。 内田百輭をほんわかさせて、ちょっぴり少女漫画を混ぜ込んだような印象。家守綺譚 (新潮文庫)作者: 梨木香歩出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/09/28メディア: 文庫購入: …

10月12日の購入

堀江敏幸 『熊の敷石』(講談社) ネット古書店で購入。

本日の読書

堀江敏幸 『熊の敷石』(講談社) 藤枝静男 『凶徒津田三蔵』(『凶徒津田三蔵』講談社)少し。

堀江敏幸 『熊の敷石』(講談社)

松浦寿輝と同じく僕の好みそうな文章のはずなのにどこかズレていっていまひとつのめり込めず、小じゃれた感じが多少嫌味に思えてしまった。熊の敷石作者: 堀江敏幸出版社/メーカー: 講談社発売日: 2001/02/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 49回この商…

窓の外の声

自分の部屋で寝そべっていまひとつ乗り切れずに本を読んでいると、わずかに開けた窓からママゴトに興じているらしい子どもたちの声が聞こえてきて、なんとはなしに耳を傾けていた。お母さん役らしい少女が「明日も学校なんだからちゃんと用意しなさい」と作…

本日の読書

G・ガルシア=マルケス/旦敬介訳 『愛その他の悪霊について』(新潮社) 小川国夫 『アポロンの島』(角川文庫)少し。

G・ガルシア=マルケス/旦敬介訳 『愛その他の悪霊について』(新潮社)

スペインによる政治的支配とキリスト教による宗教的支配の二重の統治下にあって、「愛」を渇望する人びとの物語。ただこの物語の人びとは自らが求めているものが「愛」であることに気づいてはおらず、誰一人として愛を成就出来るものはいない。そんな重苦し…

本日の読書

黒井千次 『危うい日』『久介の歳』『要蔵の夜』(『一日 夢の柵』講談社)

黒井千次 『一日 夢の柵』(講談社)

日常のなかにすっと入り込んでしまった違和をなにげなく取り出してみせる手腕は見事なもので、判で押したような当たり前の日常なんてものはないのだという思いを強くする。日常に紛れ込んだ違和により、どこか齟齬をきたしていることにある日気づいてはっと…

本日の読書

芦辺拓 『グラン・ギニョール城』(原書房) 黒井千次 『隣家』『丸の内』『記録』『一日』(『一日 夢の柵』講談社)

芦辺拓 『グラン・ギニョール城』(原書房)

あとがきにて作者本人が、安易なメタミステリの流行に疑問を呈しているにも関わらず、安易なメタミステリ以外の何物でもない仕上がり具合。細かいことをあげていけば切りがないが、第二の殺人のトリックが物理的に成立不可能で、第三のトリックも仮に成立し…

本日の借本

芦辺拓 『グラン・ギニョール城』(原書房) 黒井千次 『一日 夢の柵』(講談社) G・ガルシア=マルケス/旦敬介訳 『愛その他の悪霊について』(新潮社)

ここ数日の読書

川端康成 『片腕』『散りぬるを』(『眠れる美女』新潮文庫) 黒井千次 『夢の柵』『影の家』『眼』『浅いつきあい』『電車の中で』(『一日 夢の柵』講談社)

川端康成 『眠れる美女』(新潮文庫)

三島由紀夫が「観念的淫蕩の極致」と呼ぶ『眠れる美女』も良かったのだけれど、「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」と、ポンと片腕を外してしまう『片腕』が大変美味であった。今まで川端康成をほとんど読んだことがなかったのは実に迂闊なことだと思う。

キャットウォーク

買い物へ行く途中以前にも書いた猫溜まりの堤防に相変わらず猫がいたので、しばらくぼんやりと眺めていた。 数は以前よりも少なく、堤防の下りのところに三匹、橋の脇につけられた点検用らしき通路に三匹の六匹がいるだけだった。猫がいる通路は大人一人が通…

本日の購入

川上弘美 『おめでとう』(新潮文庫) 川上弘美 『物語が、始まる』(中公文庫) 川端康成 『眠れる美女』(新潮文庫) 三島由紀夫 『仮面の告白』(新潮文庫)川端康成も三島由起夫もほとんど読んだことがない。 『眠れる美女』の解説を書いてるのが三島由…

本日の読書

中原昌也 『マリ&フィフィ虐殺ソングブック』(河出書房新社)読了。 川端康成 『眠れる美女』(『眠れる美女』新潮文庫)

中原昌也 『マリ&フィフィ虐殺ソングブック』(河出書房新社)

思っていたより苦手でなく、思っていたより滅茶苦茶でもなく、どれもこれも非常に中途半端なのだけれど、文章自体はしっかりしてるので、その中途半端さを楽しめるようになっているというかなんというか。しかしこういったものを書くのなら賞などとは無縁で…

本日の読書

山田正紀 『神曲法廷』(講談社文庫)読了。 中原昌也 『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』(河出書房新社)少し。

山田正紀 『神曲法廷』(講談社文庫)

ミステリという形式において、探偵の前にくり返し敗北することを運命づけられた犯人役こそ、絶対者に挑み敗れ去る人間自身の象徴ではないか、とずっと思っていた。 人類最初の殺人事件であるカインによるアベル殺しで、探偵役を務めるのは神自身であるのだけ…

藤枝静男 『異床同夢』(河出書房新社)

『武井衛生二等兵の証言』『異床同夢』の二作は、終戦直後、ソ連に武装解除を受けたあと、部隊から脱走し、家族のもとに逃げ延びた武井衛生二等兵が語り手となっていて、狭義の「私小説」ではなく、聞き手として藤枝静男本人が登場するわけでもない。それな…

本日の読書

山田正紀 『神曲法廷』(講談社文庫)349/656。

雨の日の本屋巡り

我が街の本屋にはガルシア・マルケスもポール・オースターも置いていない。