2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

嵐山光三郎 『文人暴食』(新潮文庫)

『文人悪食』の続編。『文人悪食』に比べると、紹介されている作家の知名度はやや落ちる。『文人悪食』が教科書級だとすれば、『文人暴食』は国語便覧級といったところか。全く知らなかったのは久保田万太郎だけだったけども、他も名前を知っているという程…

後藤明生 『行き帰り』(中央公論)

従来の小説のカタルシスを徹底して避け、決定的な出来事はなにも起こらない。それなのになぜこうも面白く感じるのか。後藤明生の面白さを語るには僕には小説を語る言葉が不足していて、後藤明生を語り、さらに楽しむためには小説そのものへの造詣を深めなけ…

フォークの神様

昼飯を食いながら「笑っていいとも」を見ていると、岡林信康が出てきたのでえらく驚いた。椅子からずっこけそうになったほどだ。岡林は連絡が取れないことで有名なんだけども、そうか、石川さゆりは岡林のエンヤトットを歌っているのでその縁か。高石ともや…

本日の購入

後藤明生 『関係』(皆美社) 後藤明生 『行き帰り』(中央公論社) ネット古書店で購入。 『関係』の奥付に著者検印があって、この印はもしかしたら、『挟み撃ち』出版のおり、藤枝静男が授けたという手製の印なのではないか! と慌てて興奮してしまったの…

死に顔

橋の狭い歩道を部活帰りらしい女子中学生の一団に塞がれてしまい、しかたなしにその後ろをトボトボと歩いていると、不意に「寝顔も見られたくないけど、死に顔も見られたくないやんかー」という言葉が飛び込んできた。「死に顔やて、ここに変な子いてるー」…

北村薫 『ターン』(新潮文庫)

同じ一日を何度も繰り返すというありがちな設定も北村薫が書くと変にほのぼのしてしまって、どうせハッピーエンドなのだろうなー、と油断していたら、後半になって純度百パーセントの悪人が出てきたのでびっくりした。 ところで、北村薫を読んで毎回残念に思…

倉知淳 『日曜の夜は出たくない』(創元推理文庫)

泡坂妻夫風味の連作短編。ミステリとして格別出来がいいわけではないのだけれど、それぞれの短編ごとに語り口に一工夫あって、登場人物が皆愉快なので、ミステリとして不出来かな、と思える部分はさほど気にならないし、解説で小野不由美も書いている通り*1…

本日の購入

阿川弘之 『南蛮阿房列車』(新潮文庫) 阿川弘之 『南蛮阿房第2列車』(新潮文庫) 江戸川乱歩 『蜘蛛男』(創元推理文庫) 江戸川乱歩 『三角館の恐怖』(角川文庫) 北村薫 『秋の花』(創元推理文庫) 北村薫 『ターン』(新潮文庫) 倉知淳 『日曜の夜…

スーパー日記

ブリのしゃぶしゃぶというものを一度試してみたくて、鮮魚が充実している隣町のスーパーへ行くも、ブリは売り切れていた。しかたなく業務スーパーで野菜だけ買って(業務スーパーに鮮魚は置いていない)、駅前のスーパーでブリだけ買う。帰りに道に大根を買…

十七日の購入

後藤明生 『夢と夢の間』(集英社) ネット古書店で購入。

保坂和志 『季節の記憶』(中公文庫)

『よつばと!』と設定がよく似ているというのは前に書いた通りなのだけれど、読み終えての感想はだいぶ違って、『よつばと!』があくまでよつばを見守る客観的でイノセントな視点に立っているのに対して、この『季節の記憶』では、クイちゃんのパパである「…

後藤明生 『夢と夢の間』(集英社)

『季節の記憶』が、「僕」と他人との距離感が近しい小説だっただけに、後藤明生の「自分」と「他人」との距離の取り方が異様なほどに思えた。妻や息子に対しても、その他の他人同様に距離を取っている。決定的な態度を留保し続けているといっていいのかもし…

本日の購入

嵐山光三郎 『文人暴食』(新潮文庫) 『文人悪食』の続編。 あればいいけど多分ないんだろうな、とダメ元で本屋にいって、ちゃんと置いてあったので、なんだか嬉しかった。

本日の読書

保坂和志の『季節の記憶』(中公文庫)少し。

あずまきよひこ 『よつばと!』(メディアワークス)一巻〜六巻

人から借りて読む。 『じゃりン子チエ』『papa told me』の系譜に連なる父娘漫画とするとおかしいかもしれないが、読み始めてすぐにこの二作を連想した。ただこの二作と違うのは確かな時間の流れが『よつばと!』にはあることで、チエちゃんと知世ちゃんが、…

藤原伊織 『ひまわりの祝祭』(講談社文庫)

お話がアクロバティックなのはいいとして、それに合わせて主人公が超能力まがいの博才を持っていたり、実は射撃の名手だったりするのはいささか白ける。半ば面白く読みつつも、この主人公に同調出来ず、いまひとつ堪能できなかった。 どうでもいいようなこと…

メガマクド喰う

ミーハーなのでメガマックを食べる。ボリュームも満足感も今ひとつ。 マクドナルドは一番安いハンバーガーを四つほど買ってきて、余っている食材を色々挟んで食べるのが好きだ。ベーコンエッグにトマトとレタスを挟んで、マヨネーズとケチャップをもりもりか…

藤枝静男 『寓目愚談』(講談社)

藤枝静男の随筆集はこれですべて読んだことになる。小説のほうもあと読んでないのは『犬の血』『壜の中の水』の二冊のみ(のはず)。読んではいるが手元にないものならまだ結構あるので、全部揃えるのにはまだしばらくかかりそう。 江藤淳、城山三郎とのソ連…

IQサプリのこと

夕食を取りながらぼんやりと見ていた「脳内エステIQサプリ」のしりとりコーナーで、オセロの松嶋尚美が答えた「かねめ(金目)」がアウトになったのがどうしても納得いかない。どれくらい納得いかないというと、ここでこうして書いてしまうくらい納得がいか…

嵐山光三郎 『文人悪食』(新潮文庫)

漱石鴎外から始まって池波正太郎、三島由紀夫まで、三十七人の文士の食にまつわるエピソードが紹介されている。料理から見た近代文学史にもなっているのだけれど、石川啄木の借金癖や、中原中也の粗暴を暴く筆致は容赦がなく、当たり障りのないことしか書か…

本日までの読書

嵐山光三郎 『文人悪食』(新潮文庫)中原中也まで。 藤枝静男 『寓目愚談』(講談社)少し。

『スリーピー・ホロウ』(1999/ティム・バートン監督)

深夜放送されていたのを見る。お陰で寝不足。半分眠りながら見るのにちょうどよい美しいファンタジー映画で、心地よい悪夢といった感じ。クリスティーナ・リッチが可愛い。ジョニー・デップの助手役を務める少年も健気でよい。 [DVD]" title="スリーピー・ホ…

カレー日記

久しぶりにカレーを作る。小賢しく色々入れてみるが、普段と大差ないカレーとなる。なにを入れたかというと、チョコレート、ヨーグルト、インスタントコーヒー、牛乳、野菜ジュースである。すり下ろしたリンゴを入れたかったが案外リンゴが高かったので野菜…

本日の購入

安部公房 『笑う月』(新潮文庫) 嵐山光三郎 『文人悪食』(新潮文庫) 海野十三 『赤道南下』(中公文庫) 車谷長吉 『鹽壺の匙』(新潮文庫) 森見登美彦 『太陽の塔』(新潮文庫) カミュ/清水徹訳 『シーシュポスの神話』(新潮文庫) ランボオ/小林秀…

本日までの読書

嵐山光三郎 『文人悪食』(新潮文庫)少し。 黒井千次 『けやき通り』『たかはた不動』(『たまらん坂』福武書店) 藤枝静男 『寓目愚談』(講談社)少し。

黒井千次 『たまらん坂』(福武書店)

武蔵野を舞台とした短編集。もう少し連作要素があるのだと思っていたのだけれど、武蔵野を舞台とした中年男の淡いロマンスということ以外さしたる共通点はない。表題作の『たまらん坂』のみ地名探求譚のようになっており、RCサセクションの『多摩蘭坂』が…

死・灰・ロスト

二十五歳から三十五歳までの世代を、日本の「ロスト・ジェネレーション」としている朝日新聞の記事をちらりと読んだ。 元記事のいわんとしていること自体にはさして興味はないが、僕自身がちょうどこのロスト・ジェネレーション世代であり、時代の狭間にある…

横溝正史 『夜歩く』(角川文庫)

ネタばれは特に忌避していない、ということは以前にもちらりと書いたと思うのだけれど、やはりミステリのネタばれを書くのには抵抗があって、どうにもミステリの感想は書きにくい。完全に自分用のメモ書きに過ぎないと、割り切ってしまえばいいのだけれど、…

後藤明生 『笑坂』(中公文庫)

追分を舞台とした連作短編集。舞台が追分の山荘周辺と限られている分、月日を奔放に飛び越える後藤明生の語りの自在さが際だっていたように思う。今の光景が、不意に数年前の光景に連なり、その「今」にしたところで、語りのなかでの「今」でしなかなく、当…

本日の読書

眉村卓 『二十四時間の侵入者』(角川文庫) 後藤明生 『ひと廻り』『石尊行』(『笑坂』中公文庫)