2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧
後藤明生生前に刊行された最後の本。 タイトルにもなっている「小説の快楽」で芥川竜之介の『芋粥』と宇野浩二の『蔵の中』がゴーゴリの『外套』を挟んで繋がることを示し、小説が、小説を読んで書かれたものであることを解き明かすくだりは後藤文学のエッセ…
『オレンジ党と黒い釜』、『魔の沼』と続いた「オレンジ党」シリーズ(一応の)完結編。地元の図書館には『魔の沼』までしか置いてないので子どもの頃にも読んでいないはず。あるいは小学校の図書館で借りて読んでいたかもしれないが、記憶は定かじゃない。 …
今までで一番笑ったかもしれない。京子のチュウ顔とかツボ。イサコのみヒゲ顔回避されちゃうあたりスタッフの偏愛を感じる。 生れ故郷にたどり着いたヒゲイリーガル達が高度な文明を発展させ、ピンチに落ち入ったヤサコ達を救う、みたいな展開があれば凄いと…
書簡体の九編からなる連作で、実名があがられている人物が実在するのは確認出来たけれど、イニシャルだけの人物は実在するかどうかわからない。 手紙はすべて韓国旅行中の体験に関するもので、後藤明生と韓国はいささか複雑な関係にある。後藤明生は日本統治…
なんとなくウルトラマンちっくな回。ヤサコが完全に脇役に回った回でもある。 京子はコミックリリーフ的な役割が主であって、あまりストーリーに絡んでこないように思っていたのだけど、今回の案外とダイチに懐いている様子を見ると、元祖黒客組(ダイチ)、…
追分での『挾み撃ち』執筆の様子をつづった「作家ノート」。作者自身も書いている通り創作ノートではなくて、生活雑記のようになっている。小説が随筆に近づいている作家は結構いるが(私小説家の晩年など特にその傾向がある)、後藤明生の場合、エッセーが…
諏訪哲史『アサッテの人』に決定。種村季弘に師事とあって、へーと思う。 円城塔は芥川賞候補になってなくとも『Self-Reference ENGINE』が気になってたので、近いうちに読んだかも知れないのだけど、川上未映子は「芥川賞候補を読む」ということをしなけれ…
普段同時代の文学をほとんど読んでいないので、このような企画を行うのは僕には不向きだったなぁと思うのだけど、一応全部読んだので感想を記してみたい。ということで以下長くなるので続きを読むで。
岩井氏とのが蜂談義をそのまま後藤明生の自説解説みたいになっていて、井伏鱒二の『スガレ追ひ』に対しての「このウソかホントか、すれすれの境界。ウソでもありホントであるところの境界。その境界が、この小説の妙味ですな」という言葉は、そのままこの小…
今週もとっても面白く、来週もとっても面白そうで、日曜日は前日の余韻を楽しむとして、平日はスパっとすっ飛ばしてしまいたいくらいな今日この頃です。イサコにお兄ちゃんがいることが確定。イサコが妹キャラであることは前々から想像(妄想)していたけど…
天沢退二郎 『オレンジ党、海へ』(筑摩書房) 天沢退二郎 『ねぎ坊主畑の妖精たちの物語』(筑摩書房) 後藤明生 『分別ざかりの無分別』(立風書房) 後藤明生 『眠り男の目 追分だより』(インタナル出版社) 後藤明生 『使者連作』(集英社) 後藤明生 …
ということで、府立中央図書館まで出向いて芥川賞候補を一気に読んできたりした。感想は多分日曜あたり。しかし、こんなに面白くないものなの? ってな具合で感想書くにもネガティブなものになっちゃいそう。 何でも読んでいるようで、普段いかに選り好みし…
『早稲田文学0』(早稲田文学会) 木曜深夜に勢いで注文して月曜日に届く。 表からも裏からも読めるダブル巻頭使用。表紙がペランペランですでにまくれてしまっている。芥川賞候補作の『わたくし率 イン 歯ー、または世界』のみ読了。ある種の企画ものなので…
ということをやってみようかと思ったはいいが、まだ一作しか読めていないし、そもそも過去の芥川賞受賞作からしてロクに読んでないのだった。読んだ中で一番最近の受賞作が2000年の堀江敏幸『熊の敷石』になっちゃうくらいで。 ついでだから全部数えてみたら…
なんじゃこりゃ、とポチっとしたら、消せない星がついてしまった。 というよくある話。
かなーり恥ずかしかったのだけど付録に別作付録のために『ちゃお』を購入。「本作は、磯光雄原作 脚本 監督のTVアニメーション『電脳コイル』をもとに、作者久世みずきが独自の解釈を加えてコミックスとして書き下ろしたもので、同TVアニメーション『電脳コ…
お話が大きく動き出した感のある九話ですが、今回一番気気になったのは、ミチコさんが「階段を降りても降りても一階に着かない」ということ。オープニングで主要登場人物が階段を登るシーンがあり、第一話にひっそり出ていた「大黒式階段をあるルートで辿る…
詩集なのだけど幻想的な掌編集として読んでしまう。小説的な散文詩と詩的な小説の差はまるで曖昧としていて僕にはほとんど区別がつかない。小説家が書いていれば小説で、詩人が書いていれば詩ということなのだろうか。 廃船になった潜水艦の地下街にマスクを…
地元の図書館には『文藝春秋』以外の文芸誌は置いていないというそんな有り様なのでした。
これは傑作なんじゃないか、と途中までは思っていたもの、元夫婦刑事パートがミステリとしていささか退屈で(人物描写は楽しいのになぁ)、手掛かりを拾い集めるためだけに全国を移動しているようで、出来の悪いRPGのアイテム探しのごとくになってしまっ…
円城塔 「オブ・ザ・ベースボール」(文學界六月号) 川上未映子 「わたくし率 イン 歯ー、または世界」(早稲田文学0) 柴崎友香 「主題歌」(群像六月号) 諏訪哲史 「アサッテの人」(群像六月号) 前田司郎 「グレート生活アドベンチャー」(新潮五月号…
出来の良い短篇集だと思った。だだ、すんなりと受け入れることの出来る既存のパターンを上手に組み合わせたものを出来が良いというように感じるのであり、安心して読め、腑に落ちる度合いが高ければ高いだけ、似たようなものを読んだことがあるような気にな…
イリーガルが電脳ペットの幽霊みたいなものなのだとしたら、前回書いたデリートされた情報が蓄積されている電脳物質にとってのあの世のようなものが本当にありそうだ。イサコの髪に人の顔が浮かび上がっていたのもそういった電脳霊の一種なのだとしたら、人…