ケサランパサラン

帰り道、ケサランパサランを見かけた。ふわふわと風に舞うそれは勿論大き目の綿毛か何かに違いなく、手を伸ばせば届きそうなところをゆっくりと流れていくので、一つ掴まえてやろうと思ったのだけれど、横合いの道から、学校帰りらしい赤いランドセルを背負った女の子が、まるで追いかけるようにして飛び出てきたので、彼女に任せることにした。
家に帰ってから、今日が日曜であったのを思い出し、少しはっとした。
これが作り話だったならば、あの女の子は座敷童子かなにかだったのだと終わることも出来るのだけれど、生憎これは作り話ではなく、実際にあったことを書いている日記なので、僕が白昼夢を見たのでないとすれば、あの女の子は日曜にランドセルを背負い学校かどこかに行く理由があらねばならず、あるいは荷物を入れる鞄を他に持ち合わせていない為にランドセルを背負っていたのかもしれない。なんにせよ日曜日にランドセルを背負ってはいたけれど、あの女の子は座敷童子か何かの物の怪の類などではなくて、ありきたりのただの女の子なのだ。そう思うと何故だかあのケサランパサランの方が本物だったのではないかという気がしてきた。今頃あの女の子にとっ捕まって、白粉を喰わされているかもしれない。
別にたいしたオチもつかないのだれど、本当のことだからしかたがない。