後藤明生 『日本近代文学との戦い』(柳原出版)

表紙自体に遺稿集の文字はないが遺稿集。四十歳前後の写真しか見たことがなかったので、巻頭に付されたいかにも老人めいた晩年の写真を見て、こりゃ確かに晩年だわ、と変に納得するところがあった。しかし文章自体には晩年にあるという印象はまったくない。表題にもなっている連作「日本近代文学との戦い」では二葉亭四迷を巡ってアミダクジ式の格闘が繰り広げられていて、未完に終わってしまっているのが何とも惜しい。これが完成していれば間違いなく後藤明生の代表作の一つとなっていただけでなく、日本近代文学への鋭い一撃となっていただろう。

日本近代文学との戦い―後藤明生遺稿集

日本近代文学との戦い―後藤明生遺稿集

後藤明生 『円と楕円の世界』(河出書房新社)

後藤明生初のエッセー集。小説以外の文章を「エッセー」という言葉でひとくくりにしてしまうのは乱暴なような気がするのだけど、他に適切な言葉も思い浮かばない。
「楕円」というのは自分と他者と二つの中心により世界を認識しようとする後藤明生武田泰淳の『司馬遷』から得た認識であって、これが「何故小説を書くのか、それは小説を読んだからだ」という後藤明生の小説原理に繋がっていく。題材や方法の変遷はあってもこの原理自体は生涯一貫していたというのがなんとも凄い。
どうでもいいことだけど、丹羽文雄との初対面のことを書いた短文「初対面の錯覚」の最後にちらりと出てくる「アメリカから戻っていたお孫さん」というのはBS-iのプロデューサー丹羽多聞アンドリウのことだろう。

不振が不審だ

食欲不振で冷たい麺類(ソーメン、ソバ、ウドン、冷し中華)ばかり食べているというのに、しばしば「何か美味いもんが食べたいなぁ」と思う。至極漠然として「美味いもん」であって、具体的に何か料理を思い浮かべると「ああ、でも食べる気せーへんし、今日もぶっかけうどんでええかぁ」となる。ロクに食べていない分、甘いものをガブガブ飲んでいるのがなんとも不健康。最近のお気に入りはカルピスとかコーラスウォーターとかの乳酸飲料で、意外といろんな種類があるのだけれど、どれもこれもカルピスのバッタモンという感じで、カルピスが一番美味い。しかしカルピスが一番高い。

天沢退二郎 『オレンジ党と黒い釜』(筑摩書房)再読

「黒い魔法」の力を利用しようとする「古い魔法」使いである源先生と「時の魔法」に属するオレンジ党の子どもたちとの戦い、と今読んでもなんともややこしい。

オレンジ党と黒い釜 (fukkan.com)

オレンジ党と黒い釜 (fukkan.com)