渦まく宇宙

なんだかよくわからない話の成り行きで、自称多重人格の人にステーキをご馳走になった。一番支配的な人格は中国人で、現在は本国に帰国中なので自由に動けるのだそうだ。ご馳走になりながら行きつ戻りつ脱線を繰り返しながら聞いた話が大変面白く、なんでも宇宙は水のようなもので満たされていて、惑星は太陽を中心とした大渦巻きの中で浮き沈みしているのだそうだ。しかもその惑星はそれぞれが無数の胎児の集合体であり、六星占術で、火星人とか水星人だとかいうのはそのためだという。その他にも色々な話を聞かされ、それぞれがちゃんと関連し合っているように思えたのだけれど、とても整理しきれなかった。その中でとりわけ興味深く思ったのは、鏡の前で三秒ほど消えたことがあるという話で、屈折率の話や、盲点による死角の話をしてみたりしたのだけれど、そういったことではないのだと否定された。勿論そういったことではないのはわかっていて、自分自身の姿など見えないのが当たり前で、鏡に己の姿が写るということの方がよほど不思議なことではないかなどと思っていたのだった。