祝日の猫

川岸へと続く堤防の下りで、十数匹の猫がなにをするでなくぼんやりと日に当たっていた。堤防の上から見下ろすように眺めると、一匹一匹が絶妙な具合に距離を保っていて、それぞれ顔を向けているほうも別々で、しばらく見ているうちに一匹が伸びをするように立ちあがり、堤防を登って僕の前を悠然と横切った。一番下のほうでは、河岸の遊歩道を老人に連れられ散歩する犬を興味深げに眺めている猫がいたが、犬に興味を示したのは十数匹のうちでその一匹だけだった。
そのままぼんやり猫を眺めていると、前籠のところに赤ん坊を乗せた自転車がやってきて、母親はただ前を見るばかりだったのだけれど、赤ん坊のほうは僕をじっと見ていて、すれ違う際もなにか面白いように首を動かし僕のほうを見つめていた。
夕間暮れにはまだ早い祝日の午後だった。