文学フリマ上京顛末記

11日→12日 大阪→東京

体調不調のまま夜行バスに乗り込むのがいささか不安ではあったものの、幸運なことに隣の席が空席で、ゆったりと坐ることが出来、風邪薬を飲んだ上、酔い止めまで飲んだお陰か、寝て起きたら東京に着いていたという理想的な展開。

12日 東京駅→秋葉原

東京駅から山手線に乗り込み文学フリマ会場のある秋葉原へ。開店前の書泉ブックタワー前にて、ファック文芸部員のid:comnnocomさん、id:duke565さん、id:hachi_gzkさんと待ち合わせ。PS3臨時入荷の行列が出来ているというのでミーハーに見に行くも、すでに完売の札がかかっていた。
定刻にフリマ会場である東京都中小企業振興公社秋葉原庁舎に入る。想像してたより狭く、人いきれの所為かいささか暑い。届いていた段ボール箱いっぱいの冊子をブースに運び込む。箱を開封し、完成した冊子に感動しつつ、150部という量にビビる。山のように売れ残り途方に暮れている様が脳裡に浮かぶ。「だから100にしときゃよかったんだ」と愚痴りつつ、ブースの用意をする。(ブースの様子はcomnnocomさんとこ参照のこと)風邪で体調を崩さなければもっと色々訳のわからないものを制作して飾りつけしたかった。この辺は非常に心残りである。ちなみに、ネームプレートを抱えていたクラシックプーは僕の私物で、今はパソコンデスクの定位置に戻っている。眉毛つきでビビットな色合いのディズニー版プーは断固として認めない。まあそのクラシックプーもディズニー製ではあるのだが。話が逸れた。ブースの設置も終え、ひと息ついた頃に、風邪薬が切れ鼻がぐずり始めたので風邪薬を飲む。
開場早々から売れ行きは快調で、開始一時間で予想外なことに四十冊以上捌ける。ファック文芸部以前からの知り合いが何人も来てくれて感動する。永瀬さん、サイキさん、田村さん、qbcさん、長月さん、川野さん、祗園兵さん、moriさん、TAKEXさん、小松さん、ikenoさん。来てくれてありがとう。一度はお目にかかりたいと前々から思っていた半茶さんが来てくれたのは一際嬉しかった。お目にかかれたどころか、以前このダイアリーで欲しいと書いていたブルーノ・シュルツの『シュルツ全小説』差し入れとして頂いてしまって、感激のあまりおしっこちびりそうになる。本好きへの差し入れは菓子折より現生より本に限る。小憎いばかりの差し入れである。後藤明生のweb権威である、「壁の中」からのking(東條慎生)さんが来てくれたのにもびっくりした。びっくしりしたどころか、目の前のブースに居られたのに全然気づいていなかった。そもそも僕が文学フリマに興味を持ったのはkingさんのところで第四回文学フリマの参加レポを読んだからだというのに迂闊過ぎる。ゆっくりお話を伺いたいところだったのだけれど、「今年の夏ようやく『壁の中』を読みました」「うちには二冊あります」といった会話を交わせた程度。一冊ください、とは勿論言えず。
僕が受け持った二時間のうちに八十冊以上捌けるという予想外の事態に。余りの売れ行きにニタニタ笑いながらduke565さんと交代し、会場を抜け、某サイトの仲間であるqbcさん、長月さん、川野さんとお茶をする。
一時間もしないうちに、dukeさんより残り10冊切ったという連絡が入り、慌てて会場に戻る。まさかこれほど捌けるとは思っていたなかったので頭を抱えつつ、部員用に多めに確保していた分を減らしブースに並べる。それでも三時を過ぎる頃には完売。今朝PS3完売の札を見たときには自分のところのブースで完売の札を出すことになるとは思っても見なかったので感慨無量。誰だ、150部は多すぎる、絶対余るとか言ってたのは。
その後、華麗に打ちあがり、ifさんの短歌を朗読したりしつつ、今日は漫画喫茶に泊まるつもりだと言うと、「わざわざ大阪から出てきてくれた人をそんなとこに泊めてるのは東京もんの名折れだ」とTKAEXさんが泊めてくれることになる。TAKEXさんには上京の度に何かとお世話になっている。感謝の念に堪えない。

13日 お茶の水神田神保町

TAKEXさん宅を出て中央線に乗りお茶の水へ。お茶の水後藤明生『挟み撃ち』の起点であり終点でもあり、失ってもいない外套のことを思い浮かべる。
前日約束を取りつけていたトンボロの川野さんと合流し、神田神保町へ。以前にもちらり立ち寄ったことはあるのだけれど、ゆっくりと回るのは初めて。普段目にすることのないような本に直接触れられるのは感動的だが、ネット古書店などに比べ、値段は高めな印象。ある店では七千円の値がついていた藤枝静男の『空気頭』が別の店では三千円だったりした。この差は一体何だろう。確か後藤明生の『夢かたり』だったと思うのだけれど署名入りだというので見てみたら、丸山健二への献辞入りだった。別のものを見ると今度は奥野健男の名があった。こういった同業者への献呈本が出回るものなのかどうか。何故だか島尾敏雄と小川国夫をよく見かけた。多少値が張っても見つければ即買いだと思っていたもの(後藤明生『蜂アカデミーへの報告』藤枝静男『今ここ』など)は結局見つけられずで、買ったのは千円以下のものがほとんど。この辺に住んでいれば本を買うために必死に働くのになぁと思う。

13日 お茶の水→銀座

バイトがある川野さんと別れ、qbcさんと合流。銀座のおそば屋さんに連れて行って頂く。今まで何度か上京して割とあちこち観光していたりはするのだけれど銀座は初めて。銀座 久兵衛の前を通りかかりミーハーに興奮したりする。お店はさほど敷居の高くない感じの店だったのだけど、料理はどれも美味かった。締めの蕎麦にたどり着く前にすっかり腹がくちくなってしまったのは残念。

13日→14日 東京→大阪

qbcさんに東京駅まで送って頂き夜行バスに乗り込み大阪へ。またしても幸運なことに隣の席が空席でゆったりと座ることが出来た。今まで何度も夜行バスを利用しているがこんなことが続くことはなく、途中で事故に遭うのではないかと心配するも、寝ている間に大阪に着く。風邪を引いていたお陰で逆によく寝ることが出来たといった塩梅。