後藤明生 『夢かたり』

丁度一週間かけて読み終わる。毎日メモ書きしておくとそんなことがすぐわかって便利だ。『挟み撃ち』を読んでいた時は、ゴーゴリに触れられていればゴーゴリを読み、永井荷風に触れられていれば永井荷風を読みしていたので、さして長い小説でもないのに読み終わるのに一ヶ月以上かかった記憶がある。朝鮮半島の永興で過ごした少年時代を回想しながら書かれる本書でも、自分の少年時代を思い出しながら読んだりしたので時間がかかった。とはいっても僕の記憶のおぼろげなことといったらそりゃ酷いもので、小学校低学年の頃、八幡さんの近くでよく一緒に遊んだ三人組の一人のことを顔も名前もまるで思い出せなかったり、幼稚園の頃好きだったはずの子の名前もまるで思い出せなかったりして、自分の脳細胞の死滅っぷりに思わず顔を顰めてしまうくらい。高校の頃にライブ会場でヘッドバンキングなぞしていたからいかんのだと半ば本気でそう思っている。細いジーンズは腰に悪いらしいし、ロックは身体に悪い実にいけない音楽だ。後藤明生を読んでいると、どうも読み手の方までアミダ式に寄り道してしまうみたい。