武田泰淳 『十三妹』(中公文庫)

大切な受験を目前に控えた安公子のところに腹違いの妹を名乗る少女が次々と集まってきて、その数なんと、十三人! 十三人の妹に取り囲まれての安くんの日常はもう大混乱! という話ではなく、十三妹とは女主人公の名前であり、本来は『児女英雄伝』の主人公とのこと。軽妙な中国武侠小説であり、表紙と挿画が鶴田謙二で、解説が田中芳樹であるのだけれど、作者は武田泰淳であるというそのギャップに戸惑いつつも、読み進めるうちに作者が武田泰淳であることなど忘れてしまって、あっという間に読み終えてしまった。久しぶりに純然たるエンターティメントを読んだ。

十三妹(シイサンメイ) (中公文庫)

十三妹(シイサンメイ) (中公文庫)