蓮實重彦 『オペラ・オペラシオネル』(河出書房新社)

『陥没地帯』の解説に「しかしあれだけはさすがにみな語ることを避けている(笑)」という作者自身の言葉が紹介されていて、『オペラ・オペラシオネル』の解説には「世間はまだ、この小説をどう遇してよいか戸惑っているようにみえる。だが、この小説を黙殺することの重大さに気がつかねばならない」とある。批評活動の余技と見なされているのか、蓮實重彦の小説はあまり読まれていないらしい。
ロブ=グリエとの類似を論じているページがないものか検索したみたものの、感想自体がほとんど見当たらない。さりとて僕自身が蓮實重彦の小説について何か述べられるべくもなく、読むしかない小説というものもあるのだという逃げ口上を口にしておくに尽きている。
『オペラ・オペラシオネル』に限っていえば、『陥没地帯』に比べると随分と単純化されていて、しかし単純ではあるものの明快ではなく、明快ではないが、難解ではないという、わかったようなわからないようなそんな小説で、言葉のパズル遊びのように思える。