大下宇陀児 『偽悪病患者』(『新青年傑作選集3 骨まで凍る殺人事件』 角川文庫)

新青年』昭和十一年一月号に発表。妹と兄との往復書簡という形式から変格ものかと思いきや立派な本格もの。妹の手紙の中で、勿論の略として「モチ」という言葉を用いられていて、七十年も前から使われていた言葉だったのネ、と興味深く思う。