ジャン=フィリップ・トゥーサン/野崎歓訳『ムッシュー』(集英社文庫)

『ためらい』は大変好みであったのだけれど、この『ムッシュー』は楽しく読めはするが好みではないという実に微妙なところ。そういえばデビュー作『浴室』からしてそうだった。第三作『カメラ』も本の山の中から発掘してきてはいるのだけれども、興味は『ためらい』以降の作品にある。

京都のほんやら洞という喫茶店で開かれていた写真展の告知用ポストカードでトゥーサンを知り、興味を覚えたものの、その時にはすでに写真展は終わっていて、そのかわりのように古本屋で『浴室』『ムッシュー』『カメラ』と三冊まとめて買ってきたのだった。たぶんもう五年くらい前のことではないかと思う。

この際ついでに書いておくと、僕がここに載せているような写真を撮るようになったのは、人からデジタルカメラを貰ったのと(『そのデジカメいいなぁ。欲しいなぁ』と言っていたら誕生日にくれた)、ほんやら洞店主である甲斐扶佐義さんの写真を見て影響をうけたからで、つまりトゥーサンとはほんやら洞つながりということになる(いろんな人が、いるもんです)。

ムッシュー (集英社文庫)

ムッシュー (集英社文庫)