ジャン=フィリップ・トゥーサン/野崎歓訳 『カメラ』(集英社文庫)

『浴室』『ムッシュー』では、それほど気にならなかったはずの小じゃれた冗漫さがどうしても鼻につき、ほとんどげんなりとしていたのに、ロンドンからの帰りの船内で、カメラを拾うあたりから、途端に面白くなりはじめ、一気に読了してしまう。前半部分がもう少し短ければ率直に好きな小説だといえたと思う。

カメラ (集英社文庫)

カメラ (集英社文庫)