悪酔い

人からミスタードーナツのタダ券を貰ったので、喜び勇んで買いに行く途中、いや、タダ券を用いるのだから買うとはいわず、貰うとか引き換えるとかいうべきかもしれないが、いやいや、そんなことはともかくとして、その途中にある線路下の短いトンネル(高架ではない)でのことだ。薄暗いトンネルの端にある排水溝のところに吐瀉物が撒き散らかされていて、ああ、と顔を背けると、次の排水溝のところにも先ほどより量の少ない吐瀉物があって、その次のところにもより少なくなった吐瀉物があった。人様のゲロを眺めて楽しむ趣味はないのでしげしげと見てはいないのだけれど、それはどうやら同一人物のもののようで、往来にゲロを吐いたことに違いはないものの、三度も吐くほど悪酔いしていながら、ところ構わずというのでなく、きちんきちんと排水溝のところに吐いているその律義さに不思議な好感を覚え、これほど痛飲しなければならないということは、何か辛いことでもあったのだろうかと心配してしまったほどだ。
ちなみにミスタードーナツではポンデリングが好きで、ポン・デ・ライオンくんも好きである。