解体工事

いましがたこの日記のタイトルを「解体工事」としようと、「かいたいこうじ」と打って変換したところ、「懐胎浩二」と出た。浩二は男性なのだから、懐胎したら大変で、おそらくこの浩二は石坂浩二のことだろう。『犬神家の一族』の再映画化についてどこかでなにやら書き、石坂浩二の名前を出した記憶がある。ちなみに「いぬがみけ」と打って変換したところ「犬がミケ」と出た。ミケは主に猫の名前であるから、その「犬」が「ミケ」という名前であるのはどうにもひねくれている。
余計な話が長くなってしまって、解体工事の話はどうでもいいような気になってきたのだけれども、一応書いておくと以下のような話。


家の近くの堤防沿いで、ビルだかマンションだかの解体工事が行なわれていた。いつから始まったのかてんで記憶にはないのだけれど、もう随分と解体は進んでいて、防音シートに包まれた外壁の内側にショベルカーがはいりこんでいて、瓦礫を掻きだしていた。その光景になぜだか臓腑を抉るという言葉が浮んできて、なにやらおそろしいようにさえ思えてきて、足早に自転車を漕いですいと通り抜けると、橋一本挟んだ向こう側に、件のずらずらとした鯉のぼりが垂れ下がっていて、軽く吹く風にもなびくことなく、だらんと萎びたように垂れ下がっているそれは、あのビルだかマンションだかから抉りだされた臓物かなにかのように見えたのだった。
とこんな話。