回転寿司

昼飯に寿司を食べる。といえばなにやら豪勢のようだが、全皿百五円の回転寿司であり、五皿以内という自ら設けた上限のうちのことで、ぐるりぐるり回転してくる皿をねめつけるほどに凝視し、マグロはあんな味である、サーモンはこんな味である、はて、シャコは喰ったことがないぞ、シャコいかなる味であるのか、エビに近いのか、エビに近いということにしておこう、するとこんな味のはずだ、などと昔の味覚を反芻しながら、ガリと茶ばかり啜り、なんとか四皿で抑えた。そんな行かないほうがマシなような回転寿司の喰い方である。
さて、最後の一皿を何にするか、ぐるりぐるりをねめつけていると、レーンを挟んで反対側に、女子高生二人組みが座った。平日の昼から回転寿司を喰いにくるとは剛毅な話で、いったいどんなツワモノであるのか、ちょっと気にしていると、ぐるりぐるりと回転してくる皿には目もくれず、しばし言葉を交わしたあと、インターフォンに向かって
カズノコと生エビ」
と注文したのにはすっかり驚いてしまい、昼間から「カズノコと生エビ」だなんて、なんと卑猥な組み合わせか! と思う。
と、勿論そんなことを思い浮かべるほうが卑猥なのは間違いないのだけれど、いやそれにしても凄い組み合わせで、すっかり感服してしまったものだから、シメの一皿に赤貝を注文したりしたのだった。