ロナルド・A・ノックス/宇野利泰訳 『陸橋殺人事件』創元推理文庫

ノックスの十戒で知られるロナルド・A・ノックスのデビュー長篇。
従来のミステリに対する強烈なまでのアンチテーゼをユーモラスな筆致で描いていて、ミステリの枠組みをあくまで遵守しながら、パロディ化する手法はアンチミステリの元祖と位置付けてもいいぐらいかもしれない。一九二五年というミステリ黄金時代の払暁にこのような作品が発表されているのは驚きで、この作品にある痛烈な批判を同時代の他の作家たちはどのように捉えたのだろう。
捻くれ者のミステリ読みにお薦めの名作。

陸橋殺人事件 (創元推理文庫)

陸橋殺人事件 (創元推理文庫)