藤枝静男 『ヤゴの分際』(講談社)

僕が感じている藤枝静男の魅力は『空気頭』のような私小説を超越したなにかとんでもないようなところにあるのではなくて(それはそれで大変おもしろいのだが)、むしろ一見なんでもなく地味にさえ思えるようなところにこそあると思っているわけなのだけれど、それが一体全体なんであるのか、なんとかそれを言い表そうと試みてみたのだけれど、上手く言語化できず書けば書くほど遠ざかっていく気がして、えいと削除してしまった。
何かに強く共感し惹かれながら、それが一体何であるのかを上手く書くことが出来ないということは非常にもどかしいことで、自分は途方もない馬鹿者なのではないか、と思えてしまう。自分が馬鹿であることを認められる程度には賢い、というようなことがいいたいわけでは無論なく、実際に今、非常にもどかしい気分に捉えられている。流行の脳トレーニングで、どれほど賢くなるものか、DHAを毎日摂取すれば多少はましになるのか、真剣に思い悩んでみるのだが、実践するにはお金が足りない。