かえり道

夕飯の買い物からの帰り道、保育園の柵にしがみつくようにして、なかを覗いている幼い女の子がいて、母親が名前を呼ぶのもかまわず、魅入られたようにあんぐりと口を開けていた。おそらくは同い年くらいの子どもたちが大勢集まっているのが、珍しく、羨ましいほどだったのだろうけど、なかの子どもらにしてみれば、ずっと母親と一緒にいられるのその子が自分らよりずっと幸福で、羨ましく思うのはこちらのほうだ、と思うのかもしれない。
そんな他人の幸福を暢気に推量していられる僕自身も、それなりに幸福なのかもしれないなぁ、と通り過ぎてから思った。