ジャン・レー/篠田知和基訳 『新カンタベリー物語』(創元推理文庫)

「船乗りが語る…… バラ色の恐怖」や「狂人の物語 ユユー」などはラブクラフトにも通じる要素があって面白かったが、その他はさほど面白くもなく、『カンタベリー物語』のパロディといった形式を生かし切れていない感じで、各人が物語る話が、互いにもう少し関係しあっていてもよかったのではないか。あと訳のせいなのか、もとからなのか、変にまわりくどいかと思うと、ぱっと直截的過ぎる表現が出てきたり、ちょっと読みづらかった。本家の方が面白い。