中上健次 『枯木灘』(河出文庫)

ちょうどこの『枯木灘』の秋幸と僕とは同い年でその他にもいくつか共通するところもあったのだけど、それ以外のところはまるきり正反対で、それだけに興味深く読むことが出来た。しかし悪い癖で、感想を書くとなると途端に言葉を逸してしまう。何か書き出すと、自分のことを長々と書いてしまいそうで、それはそれで書いてみたいことではあるのだけれど、それはまた別の物語なのであり、ここでそのことを書くのは相応しくないように思う。小説を書き、そして書かれた小説を読むということは、一個の人を離れた物語同士が出会うということなのではないか、そんなよくわからないことを思った。

枯木灘 (河出文庫 102A)

枯木灘 (河出文庫 102A)