あずまきよひこ 『よつばと!』(メディアワークス)一巻〜六巻

人から借りて読む。
じゃりン子チエ』『papa told me』の系譜に連なる父娘漫画とするとおかしいかもしれないが、読み始めてすぐにこの二作を連想した。ただこの二作と違うのは確かな時間の流れが『よつばと!』にはあることで、チエちゃんと知世ちゃんが、大人びた思考と引き替えに永遠に小学生であるのに対し、よつばは日々わずかづつだが成長している。この違いは大きいと思う。自転車を買う話の最後の「どこでもいける! どこまでもいける――!」という台詞のなかに、よつばが成長していくことが見事に示されていて楽しい。
物語のところどころで、よつばの写真が撮られていて、あるいはこの漫画の最終回は、今まで取られた写真が一枚づつ(一コマづつ)示されていき、最後にバタンとアルバムを閉じるところで終わるのではないか、と想像したりしたのだけれど、どうだろうか。ベタ過ぎるだろうか。
ところで、この『よつばと!』を読み終えてから読み始めた保坂和志の『季節の記憶』が、『よつばと!』と設定がそっくりでびっくりした。父子家庭で、父親が在宅の仕事をする、というのも同じで、子どもの年齢も共に五歳。美紗ちゃんは綾瀬家の三姉妹を合わせたような役割だし、便利屋の松井さんはジャンボとイメージがかぶる。よつばがイルカのビデオを何度も繰り返し見ているように、クイちゃんは『ミュータント・タートルズ』のビデオを毎日見る。似た設定、似た雰囲気はあっても、味わいはまた違うので、盗作だとは思わないが、『よつばと!』のタネ本の一つになっているのではないか、という気はする。そういえば、よつばがベタベタとものの名前を家中に貼りつけるエピソードは『百年の孤独』からだろうか。
とまぁ色々書いたけれど、とても面白かったので、末永く続いて欲しい。

よつばと! (6) (電撃コミックス)

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