小さな靴

若い母親に連れられた幼い娘が、突然工事用フェンスの方を指さして何事かいったのだけれど、「ああ、もうまたうるさぁゆうて」と引っ張られていくところに出くわして、一体なにがあったのだろう、と見てみると、小さな靴がフェンスに引っ掛かっていたのだった。
片方だけ落ちている靴というのはなんだか不思議で、それがさらにフェンスに引っ掛かっているのだから不思議倍増だったのだけれど、それとは別に、母親というものは、子どもが興味を示すものにいちいちつき合っていられないものなのだなぁと思った。