2006-10-31から1日間の記事一覧

原りょう 『愚か者死すべし』(早川書房)

再読。初読時には長年待たされたわりには今ひとつだと思ったのだが、再読してみると細かいことはあまり気にならず面白く読めた。沢崎が作中の登場人物からも好かれすぎているのはちょっとどうかと思わないでもない。

藤枝静男 『凶徒津田三蔵』(講談社文庫)

藤枝静男は何故二度も大津事件を題材に小説を書いたのか。『凶徒津田三蔵』での津田三蔵は『ある年の冬 ある年の夏』の寺沢と近しい存在であるので、まだわかるが、津田三蔵、明治天皇、畠山勇子、児島惟謙の四人を同列に描いた『愛国者たち』のほうはいささ…

フィリップ・K・ディック/浅倉久志 他 訳 『模造記憶』(新潮文庫)

新潮社だからなのかどうなのかはわからないが、なにやらバラエティに富んだ短編集。『不屈の蛙』『あんな目はごめんだ』『ぶざまなオルフェウス』などはお馬鹿なギャグSFで、長編のイメージが強いのでちょっと意外だった。『逃避シンドローム』『逆まわり…