藤枝静男 『凶徒津田三蔵』(講談社文庫)

藤枝静男は何故二度も大津事件を題材に小説を書いたのか。『凶徒津田三蔵』での津田三蔵は『ある年の冬 ある年の夏』の寺沢と近しい存在であるので、まだわかるが、津田三蔵、明治天皇、畠山勇子、児島惟謙の四人を同列に描いた『愛国者たち』のほうはいささか不可解である。年代順に全部読んでからもう一度よく考えてみたい。