『女王の教室』第三回

天海祐希が登場する時には寒色系のフィルターがかかる。解り易い。「どっかの国みたいなあんたくだらないダンスするくらいなら掃除していた方がマシだし」という台詞に思わず噴出し笑ってしまった。金八先生にあるような悲壮感が皆無であるところがこのドラマの娯楽性の高さなのだと思う。子どもに悪影響を及ぼすのではないかという意見もあるようだけど、金八先生のような教師像が「こんな先生がいたらいいな」という他力本願的なヒーロー待望願望を生み出すのに対し、このドラマのような圧政者としての教師像は、「こんな先生がもし本当にいたらどうしたらよいか」という実存的思索をうながす契機となり得るやもしれないので悪影響云々ということはまるでないと思う。興味深いのは、この阿久津真矢という教師はクラスの中では絶対者として君臨する女王ではあるものの、実際には教育の現場で奮闘する一理想主義者に過ぎないということで、今後、教育委員会や世論といったものが(ドラマの中で)彼女と対峙した場合どうなるかということである。あるいはそれらはドラマの外で起こり得るであろうから(現に起こっている)、あえて描かず、あくまで六年三組の児童対天海祐希という構図に終始するのかもしれない。なんてことを書きつつ、やはり「んな、あほな」と、楽しく、なははと笑いながら見るのが一番だと思う。