野間宏 『顔の中の赤い月』(『筑摩現代文学体系 65 野間宏集』筑摩書房)

ストーリーだけ抜き出してみると復員兵と戦争未亡人のすれ違いということになるのだろうけど、読み手に絡みついてくるような粘着質な文体が殆どストーリーを形骸化させてしまっているように思え、小説には必ずしも物語が必要なわけではない、というようなことを思う。