山田正紀 『神々の埋葬』(角川文庫)

先日読んだところの『弥勒戦争』に続いて、この『神々の埋葬』にも書き急いで書かれたような印象を受けた。後半の展開が『弥勒戦争』とよく似ているのもどうかと思う。しかし、西丸達也や、三宅や笠原といった登場人物の魅力は前作よりもあって、その分こちらの方が楽しめた。ただ作中の幾人もの人間を惹きつけている榊乃理子の魅力がいまひとつわからず、もう少しこの人物が多角的に描かれていたらよかったと思う。
高橋克彦の『竜の柩』シリーズにも、モヘンジョダロと神との関係が出てくるのだけれど、その着想は、あるいはこの『神々の埋葬』から得たものなのではかろうか。
そうであったとしても別に、どうこうということではなくて、そう思ったというだけの話。