本日の読書

古井由吉 『子安』(『椋鳥』中公文庫)
「活動家」や「同棲」なんて言葉が出てくると、それだけでもうべたりとある特定の時代に貼りついてしまって、やけに古めかしく思えてしまう。
かつて「活動家」であった青年たちも、敵にまわしていた世間のなかをしたたかに生き抜いて、会社の偉いさんにおさまり、「今時の若いモンは覇気がなくて困る。俺たちの時代は云々」などと云っているのやもしれないと関係のないことを思い、あと二十年なり三十年なりして、「俺たちの時代は」なんて云える何かが果たしてあるかどうか少し羨ましくなる。