池田満寿夫 『エーゲ海に捧ぐ』(角川書店)

池田満寿夫の処女小説集。
表題作『エーゲ海に捧ぐ』は芥川賞受賞作であるが、収録されている三作の中では一番おとなしく、あまり面白くなかった。続く『ミルク色のオレンジ』『テーブルの下の婚礼』のほうがよりエロティックで、特に白痴の少女とその年の離れた姉との関係を描いた『テーブルの下の婚礼』はいささか倒錯的でもあり、面白く読めた。