アイザック・アシモフ/岡部宏之訳 『第二ファウンデーション』(早川書房)

前巻に登場したミュータント、ミュールによる第二ファウンデーション探索と、第一ファウンデーションよる第二ファウンデーション探索の二部に別れているのだけれど、どちらも完全にミステリの筆法で書かれていて、いささかアンフェアなところがないではないが、下手なミステリよりよほどミステリ的興味を満足させてくれる。第一部のミュールと第二ファウンデーション員との対決は、まるきり名探偵と犯人との最後の対決だし、第二部の第二ファウンデーションの在処の推理が次々に覆されていく様は、アントニー・バーグリーの『毒入りチョコレート殺人事件』や、アシモフ自身の『黒後家蜘蛛の会』を彷彿させる。ラスト一行の演出も小憎い。
SF的小道具の面ではさすがに古びているところもあるけれど、空間に映し出された文字列が精神に感応して任意に抽出出来る「基本輻射体(プライム・レイデイアント)」などは魅力的だ。