クリストファー・プリースト 『魔法』(ハヤカワ文庫)
- 作者: クリストファープリースト,Christopher Priest,古沢嘉通
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/01/01
- メディア: 文庫
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面白く読んだものの、解釈のしようにもよるんだけれど、ナイオール=作者(に近しい存在)としてしまうと、なんでもありになってしまって、なんでもありになってしまうと、ある種の前衛小説(ロブ=グリエ『反復』とか蓮實重彦『陥没地帯』とか)が持つ何でもあり感には敵わないので、解釈の多様性を捨てて、すっきり終わらせてしまっても良かったんじゃなかろうかとも思う。「わたし」の主観によって他人の内面にまで踏み込み取り込んで小説内存在にしてしまうってのはプルーストだなと思う。
いささか単純化しすぎだけれど、作家志望の青年が、ベテランカメラマンに勝利する物語として読めば、小説の映像への優位性が宣言されているようで面白い。
ただ一つの正しい解釈があると思うわけではないけれど、幾通りかの解釈を詳細に検討しているような書評があれば読んでみたいのだけど、ざっと検索した限りでは見つけられず。