大石真 『チョコレート戦争』(講談社文庫)

表題作『チョコレート戦争』ほか、『見えなくなったクロ』『星へのやくそく』『パパという虫』の短編三編を収録。
『チョコレート戦争』は子どもの時に読んでいるのだけれど、今回読み返してみると、あら、こんな程度だったかな、というちょっと肩すかしな印象。チョコレートの城を強奪するという直接行動は失敗に終わるが、学校新聞での告発という言論で勝利するというのは1970年代の終わりに書かれていることを思うと、ちょいと意味深。
短編では、どんどん縮まっていくパパが、結局元に戻らないという『パパという虫』がブラックで面白かった。案外と児童文学にはブラックだったり、不条理だったりするものが多い。