岡田淳 『選ばなかった冒険 ―光の石の伝説―』(偕成社)

岡田淳meetsウィザードリィ的迷宮児童文学。
「選ばなかった冒険」というタイトルの通り主役の二人が能動的に動き回らないので物語的盛り上がりに欠けるのがちょっと残念な点で、もう少し分量があってもよかったんじゃないかな、と思うのだけど、一冊に収めようとするとこの程度に為らざるを得ないのかなといったところ。
テレビゲームの世界に入り込むなんていう設定を、ゲームするよりか本を読んで欲しいであろう児童文学作家が用いるのはちょっとどうなのかな、と当初思いつつも、そこはやはりテレビゲームへの批判のようなものがさほど鼻につかない程度に盛り込まれていて、欲望の再生産というRPGの基本原理をたたき壊してしまう結末は、ああ、成る程ね、と思えるものだった。


岡田淳は結構読んでるつもりで改めて数えてみると十冊も読んでおらず、これも初読。出版が1997年だから読んでないのも当然といえば当然で、1991年出版の『二分間の冒険』以降は多分まったく読んでいない。

選ばなかった冒険―光の石の伝説 (偕成社ワンダーランド (17))

選ばなかった冒険―光の石の伝説 (偕成社ワンダーランド (17))