後藤明生 『小説の快楽』(講談社)

後藤明生生前に刊行された最後の本。
タイトルにもなっている「小説の快楽」で芥川竜之介の『芋粥』と宇野浩二の『蔵の中』がゴーゴリの『外套』を挟んで繋がることを示し、小説が、小説を読んで書かれたものであることを解き明かすくだりは後藤文学のエッセンスでもあり、それが学生達への講義として行われていたというあたちがいかにも後藤明生的で面白く、学生に文学を教えるということを小説の題材としたかったんじゃないのかなぁと思われ、なんだか悔しくなってしまう。せめてあと十年長生きして欲しかった。

小説の快楽

小説の快楽