後藤明生 『分別ざかりの無分別』(立風書房)

初期のエッセー集。飛騨に行けば、『高野聖』の話になり、佃島に行くと『墨東綺譚』へと脱線する。小説として書かれていないはずなのにどこか小説めいてくる。自分の身辺を題材としても小説が私小説化することのない後藤明生の場合、エッセーも自然と小説になってしまうのかもしれない。

分別ざかりの無分別 (1974年)

分別ざかりの無分別 (1974年)