死・灰・ロスト

二十五歳から三十五歳までの世代を、日本の「ロスト・ジェネレーション」としている朝日新聞の記事をちらりと読んだ。
元記事のいわんとしていること自体にはさして興味はないが、僕自身がちょうどこのロスト・ジェネレーション世代であり、時代の狭間にあるということを実感として少し考えていたりして、密かに自分らの世代のことを「内向せざえるを得ない世代」と名づけていたりした。僕が想定していた世代は二十五歳から三十歳くらいまでで、いささか狭まるが、この世代は、バブル期に幼年期を過ごし、その浮ついた空気は知っているが、恩恵を受けることなく、携帯やインターネットが当たり前のものとなる前に思春期を終えている。これを幼年期のうちに終戦を迎え、六十年代の全共闘華やかなりし頃に思春期を終えていた「内向の世代」になぞらえて「内向せざえるを得ない世代」としたのだけれど、これはしかし僕が「内向の世代」の作家に格別興味があるからで、実際のところはさほど似通ったところがないかもしれない。ただ急激に揺らぐ時代の変動にあって、確固たる指針を持てずに成長し、良くも悪くも自分自身のなかへ内向して思考するしかなかった世代ではないか、とは思う。思春期の始めと終わりに、オウム真理教事件と9.11事件が位置するのもなにやら象徴的で、ほとんど知らない分野のこととなるが、いわゆるセカイ系の書き手などもこの世代が多いように思う。あと数年すれば、もっとはっきりした世代的特徴が出てくるのではないか。