『電脳コイル』第九話「あっちのミチコさん」(ETV)

お話が大きく動き出した感のある九話ですが、今回一番気気になったのは、ミチコさんが「階段を降りても降りても一階に着かない」ということ。オープニングで主要登場人物が階段を登るシーンがあり、第一話にひっそり出ていた「大黒式階段をあるルートで辿ると、極楽浄土への道が約束されると伝えられ」ている大黒式階段、そして毎話必ずなんらかの形で階段のシーンがあることから、「階段」が隠れたキーワードになっていて、ミチコさんがいくら階段を降りても一階につかなかったということは、ストーリーに関係してくる、少なくともなんかの譬喩になっているのではないかと思うのだけどどうだろうか。
ミチコさんが首からさげていた「鍵」も気になるけれど、これはミチコさんが鍵を開けてしまったことで、あっちへと行ってしまったということなんだと思う。イサコは鍵穴をいくつも集めることで、あっちに行こうとしてるのだろうか。

「4423」という数字はヤサコの夢の人(イサコの兄だと推測)に固有のものでなかったようで、「4423」と呼称される症例なのか、あるいはヤサコの夢の人やカンナが捉えられている(または情報が残留している)閉鎖的な電脳空間の呼称なのだろうか。

イサコが前から書いているように兄を助けるためになりふり構わずキラバグ狩りをしているのだとしたら、体内にキラバグを取り込み過ぎて大変なことになってきたイサコに「そんなことをいくらしても、死んだ人は戻ってこないわ」とヤサコが宥めるとかそんなことがありそう。

オバちゃんがいさかか過剰にバグやキラバグを消去して回っているのは、今回ハラケンが体験したような現実と電脳空間の境が崩れるのを塞ぐためであり、そういった事態が広く起こりうるのだとしたら、起こりうるからには起こってしまうと思うのだけど、虚実の境が壊れるという作品は他にも多いから、先行作品との差別化をどのように計るのかが気になるところ。