藤枝静男 『小感軽談』(講談社)

偽の仏像が真仏になる話や、インド旅行、満州チベットで密偵をしていたらしい古道具屋の店主の話など、のちの『田紳有楽』の舞台裏のような話が満載で楽しい。判彫りに熱中し、作った印が、立原正秋、高井有一、後藤明生、辻邦生、大江健三郎、小川国夫、古…

本多秋五 『物語 戦後文学史 (上)』(岩波現代文庫)

『近代文学』創刊の件が知りたくて買ったのだけれど、その他のところも戦後間もない頃の熱気のようなものが感じられてとても面白かった。藤枝静男が書いていたような本多秋五自身の困窮はさすがに触れられていなかったけれど、そのことを頭に入れて読むと、…

本日の読書

藤枝静男 『小感軽談』(講談社)少し。

本日の読書

藤枝静男 『小感軽談』(講談社)少し。

藤枝静男 『硝酸銀』(『空気頭』講談社)

小川国夫が、『硝酸銀』について「これは一篇の物語でありながら、もっと長い物語の一部だといえよう」と書いているのだけれど、まったく同感で、藤枝静男の作品群は『或る年の冬 或る年の夏』以降、以前の二つに大きく分けることが出来ると思っているのだけ…

本日の読書

J・G・バラード/山田和子訳 『コカイン・ナイト』(新潮文庫) 藤枝静男 『一家団欒』『冬の虹』(『空気頭』講談社)

J・G・バラード/山田和子訳 『コカイン・ナイト』(新潮文庫)

キーとなる人物であるボビー・クロフォードが『ファイト・クラブ』のタイラー・ダーデンのように思えたのと、舞台となっている早期退職者の富裕なコミュニティというものに実感を持てないこともあって、それなりに面白く読みつつもそれなりで終わってしまっ…

本日の読書

J・G・バラード/山田和子訳 『コカイン・ナイト』(新潮文庫)309/565

後藤明生 『めぐり逢い』(集英社)

「私は猫嫌いである」の書き出しから始まり、猫嫌いの「私」が犬猫禁止の団地で、いかにして猫を飼うようになったのかが、後藤明生お得意の脱線を繰り返しながら書き進められている。しかし読み終えて思ったのは、「成る程。夫婦の話だったのか」ということ…

本日の読書

藤枝静男 『硝酸銀』(『空気頭』講談社)

藤枝静男 『落第免状』(講談社)

藤枝静男の初随筆集。小説のほうでは徐々に増していったように思えるユーモラスな筆致がすでにありながら、どれも軽く書き飛ばしたようなところがなく小説同様に楽しめる。志賀直哉に対する敬意の念に溢れながらけして美化しない描き方はなかなか凄いと思う…

藤枝静男 『愛国者たち』(講談社)

『キエフの海』に出てくるロシア旅行に同行したSとEって誰だろう、と思い、年譜を見てみたら城山三郎と江藤淳であったりした。なんとはなしにSのほうが好意的に書かれている気がする。『異床同夢』収録されている『プラハの案内人』にもSとEは出てくる…

原りょう 『そして夜は甦る』(ハヤカワ文庫)

再読。先日『愚か者死すべし』を再読していて、この『そして夜は甦る』の登場人物がちらりと出てきていたのだけれど、ほとんど記憶になかったので再読してみる。沢崎シリーズは割と似たようなタイプの善人が多いと思う。 一作目のはずなのにすでに毎度お馴染…

今日までの読書

とりあえずメモだけ。 原りょう 『そして夜は甦る』(ハヤカワ文庫)再読 藤枝静男 『愛国者たち』(講談社) 藤枝静男 『落第免状』(講談社) 後藤明生 『めぐり逢い』(集英社)

今日までの読書

J・G・バラード/山田和子訳 『コカイン・ナイト』(新潮文庫)少し。 藤枝静男 『接吻』『山川草木』『風景小説』『私々小説』『キエフの海』(『愛国者たち』講談社)

本日の読書

黒井千次 『禁域』(新潮社)95/222

シオドア・スタージョン/矢野徹訳 『人間以上』(ハヤカワ文庫)11/7読了。

元から迂遠的な文章を馬鹿正直にそのまま訳したような日本語訳になっていて、とても読みづらかった。昔は訳の善し悪しなど気にならなかったのに、最近は気になってしょうがない。 ミュータント故に迫害されるわけでないあたりが逆に新しかった。

P・D・ジェイムズ/青木久惠訳 『人類の子供たち』(ハヤカワ文庫)11/6読了。

近未来を舞台としながら、主人公セオの子供時代(=近過去)を導入に待ってくるのが上手い。「The Children of Men」という原題は聖書っぽいと思い調べてみたら、「エホバ降臨(くだ)りて彼人衆(かのひとびと)の建つる邑と塔を 觀給へり」の「人衆」が「T…

本日の読書

P・D・ジェイムズ/青木久惠訳 『人類の子供たち』(ハヤカワ文庫)190/380 イギリスミステリ界の重鎮P・D・ジェイムズの異色SF。映画化され『トゥモロー・ワールド』の邦題でもうすぐ公開されることを読み始めてから知る。邦題は率直にいって酷い。 『人間…

本日までの読書

黒井千次 『禁域』(新潮社)少し。 シオドア・スタージョン『人間以上』(ハヤカワ文庫)少し。

原りょう 『愚か者死すべし』(早川書房)

再読。初読時には長年待たされたわりには今ひとつだと思ったのだが、再読してみると細かいことはあまり気にならず面白く読めた。沢崎が作中の登場人物からも好かれすぎているのはちょっとどうかと思わないでもない。

藤枝静男 『凶徒津田三蔵』(講談社文庫)

藤枝静男は何故二度も大津事件を題材に小説を書いたのか。『凶徒津田三蔵』での津田三蔵は『ある年の冬 ある年の夏』の寺沢と近しい存在であるので、まだわかるが、津田三蔵、明治天皇、畠山勇子、児島惟謙の四人を同列に描いた『愛国者たち』のほうはいささ…

フィリップ・K・ディック/浅倉久志 他 訳 『模造記憶』(新潮文庫)

新潮社だからなのかどうなのかはわからないが、なにやらバラエティに富んだ短編集。『不屈の蛙』『あんな目はごめんだ』『ぶざまなオルフェウス』などはお馬鹿なギャグSFで、長編のイメージが強いのでちょっと意外だった。『逃避シンドローム』『逆まわり…

本日までの読書

梨木香歩 『家守綺譚』(新潮文庫) 藤枝静男 『凶徒津田三蔵』(『凶徒津田三蔵』講談社)少し。

梨木香歩 『家守綺譚』(新潮文庫)

普通に楽しく読んでしまうと、「楽しく読んだ」以上の感想が出てこないので困る。 内田百輭をほんわかさせて、ちょっぴり少女漫画を混ぜ込んだような印象。家守綺譚 (新潮文庫)作者: 梨木香歩出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/09/28メディア: 文庫購入: …

本日の読書

堀江敏幸 『熊の敷石』(講談社) 藤枝静男 『凶徒津田三蔵』(『凶徒津田三蔵』講談社)少し。

堀江敏幸 『熊の敷石』(講談社)

松浦寿輝と同じく僕の好みそうな文章のはずなのにどこかズレていっていまひとつのめり込めず、小じゃれた感じが多少嫌味に思えてしまった。熊の敷石作者: 堀江敏幸出版社/メーカー: 講談社発売日: 2001/02/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 49回この商…

本日の読書

G・ガルシア=マルケス/旦敬介訳 『愛その他の悪霊について』(新潮社) 小川国夫 『アポロンの島』(角川文庫)少し。

G・ガルシア=マルケス/旦敬介訳 『愛その他の悪霊について』(新潮社)

スペインによる政治的支配とキリスト教による宗教的支配の二重の統治下にあって、「愛」を渇望する人びとの物語。ただこの物語の人びとは自らが求めているものが「愛」であることに気づいてはおらず、誰一人として愛を成就出来るものはいない。そんな重苦し…

本日の読書

黒井千次 『危うい日』『久介の歳』『要蔵の夜』(『一日 夢の柵』講談社)