2007-01-01から1年間の記事一覧

マルセル・プルースト/鈴木道彦訳 『失われた時を求めて 2 第一篇 スワン家の方へⅡ』(集英社文庫)

第一篇第二部『スワンの恋』は語り手である「私」の直接的な見聞を離れて、三人称的に書かれているのに、この中にも時折「私」が顔を出していて、私見を述べていたりする。『失われた時を求めて』全体があくまでこの「私」により書かれているとすると、この…

しおりちゃん

本を整理する(正確には崩れた本の山を積み直す)過程で、沢山出てきたしおりを一纏めにして、しおり入れを作ってみたりした。しおりって使わないときにはころころしてるのに、いざ使おうとすると見あたらなかったりするので、こりゃ多分便利だぞ、と思う。…

筒井康隆 『文学部唯野教授のサブ・テキスト』(文春文庫)

唯野教授は論文にてフォークナーを多く取り上げていて、日本の長編ベスト5に藤枝静男の『田紳有楽』がはいっていたりする。「サブ・テキスト」とあるけれど、ほとんどおまけといった感じであまり内容があるようには思えない。もうちょっと何か詰め込めんで…

『大日本人』(2007/松本人志監督)

ミーハーなので『大日本人』を見に行く。 予想外に笑える楽しい映画だった、ということはもっとわけのわからないものだと思っていたということで、その意味では多少肩すかしではあったものの、十分に笑えたし、拒絶したいような要素も特になかった。 という…

小林恭二 『悪夢氏の事件簿』(集英社文庫)

悪夢しかみない「悪夢氏」に、へんてこな泊まり客ばかりのオンボロホテル「アカギホテル」というのも魅力的な設定で、続編があるなら読んでみたいと思う程度には面白いのだけど、「悪夢氏」が悪夢しか見ないという設定が実はストーリーにまったく絡んでこな…

大石真 『チョコレート戦争』(講談社文庫)

表題作『チョコレート戦争』ほか、『見えなくなったクロ』『星へのやくそく』『パパという虫』の短編三編を収録。 『チョコレート戦争』は子どもの時に読んでいるのだけれど、今回読み返してみると、あら、こんな程度だったかな、というちょっと肩すかしな印…

『電脳コイル』第四話「大黒市黒客クラブ」(ETV)

「いじめ」というワードが出てきて、うわー鬱展開はいやだなーと思っていたら、イサコが鉄雄と化してもの凄い電脳戦をしちゃう回でした。ヤサコはキャラ的に「なんとか止められないの?」とか言いそうなのに言わないあたり案外サディスティック。 今回気にな…

本日の購入

大石真 『教室二〇五号』(講談社文庫) 大石真 『チョコレート戦争』(講談社文庫) 小林恭二 『悪夢氏の事件簿』(集英社文庫) 出久根達郎 『古書彷徨』(中公文庫) 筒井康隆 『夢の木坂分岐点』(新潮社) 筒井康隆 『文学部唯野教授のサブ・テキスト』…

電脳レインよ、まわれ!

相変わらず『serial experiments lain』が貸し出し中なので、OP曲「DUVET」のシングルを探し出してきてアホほど繰り返して聴く。サウンドトラックは残念ながら持ってない。 曲の雰囲気も『電脳コイル』のOP曲「プリズム」と似てるんじゃないか、と思ったのだ…

本日のうしとき

色々あってすっかり忘れていた『うしとき』を本日から再開。現在381ページで、月一計画が早くも崩れる。

天沢退二郎 『光車よ、まわれ!』(ブッキング)再読

児童文学表ベストが『扉のむこうの物語』ならば、裏ベストは間違いなくこの『光車よ、まわれ!』で、上野瞭の『ひげよ、さらば』と並んで、二大トラウマ児童文学となっている。 日常に非日常が重なっていき、得体の知れない何者かに狙われながらも、子どもた…

町田健 『ソシュールと言語学』(講談社現代新書)

ソシュールの言語学についての理解は確かにある程度深まったけれど、それ以上に感じたのは「コトバがなぜ通じるのか」というこのごく基本的な問いかけすら、現在の言語学では、論理的に実証出来ないという「コトバ」のやっかいさだった。あと恣意的で、線状…

岡田淳 『扉のむこうの物語』(理論社)再読

昨日自分で書いていて読みたくなってしまったので読む。何度読んでも楽しい。まだ読んだことがなく、児童文学を読むのに抵抗がない人には是非ともお勧めしたい。あるいはお子さんと一緒に読んで欲しい。 今回初めて気がついたのだけど、最後の一行でふいに視…

本日の購入

大塚英志 『キャラクター小説の作り方』(講談社現代新書) 大塚英志 『物語消滅論』(角川oneテーマ21) 竹田茂夫 『ゲーム理論を読みとく』(ちくま新書) フォークナーの『サンクチュアリ』か『八月の光』あたりが出回ってないか、新古書店を回るも見つか…

コイルな日々

『電脳コイル』を見て、『serial experiments lain』を見たくなったので、久しぶりにレンタルビデオ屋に行ったのだけれど、全巻貸し出し中だった。似たようなことを思った人がうちの近所にいたんだろうか。 ところで、思い出すのは『lain』だけではなくて、…

本日の非購入

群像新人賞の『アサッテの人』が面白そうなので、『群像』を買おうかと思ったのだけど、920円もしやがるので買わず。文芸誌って儲からなくて大変なんだろうなぁ、とは思うものの、920円はやっぱり高い。「文芸雑誌はこれだけ儲からない!」ってな特集をどこ…

廣野由美子 『批評理論入門』(中公新書)

小説技法の紹介と批評理論の紹介の二部に別れていて、どちでも『フランケンシュタイン』一作のみが用いられているので、取り上げる項目ごとに作品を変えるような煩雑さがなく、詳細に取り上げられているので、実際に『フランケンシュタイン』読んだことがな…

本日の購入

石川文康 『カント入門』(ちくま新書) 廣野由美子 『批評理論入門』(中公新書) 野矢茂樹 『入門! 論理学』(中公新書) なんだか入門書ばかり購入。 中上健次 『地の果て至上の時』(新潮社) ネット古書店で購入。

『電脳コイル』第三話「優子と勇子」(ETV)

この世界でいう通常空間ってのも、僕らの世界でいう通常ではない気がしてきた。『電脳コイル』の世界は単なる近未来でなくて、そもそも世界の成り立ちからして、僕らの世界とは違うんじゃないだろうか。 『電脳コイル』の世界では「電脳空間」と「通常空間」…

竹田青嗣 『現代思想の冒険』(ちくま学芸文庫)

マルクス主義以降の現代思想の行き詰まりを示しておいて、そこから近代思想に立ち戻り、ニーチェ、キルケゴール、現象学、バタイユを援用して、現代思想の行き詰まりをある程度認めた上で、その打開策を探る、とおおざっぱに理解出来たことを書くとこうなる…

小堀用一朗 『三人の"八高生" 平野謙 本多秋五 藤枝静男』(鷹書房弓プレス)

作者は本多秋五の姉の息子で大学教授なのだが、どうも本を書き慣れていないようで、分量的に本多秋五に関する記述が多いのはそれでいいとして、非常に構成が悪く、年代もあちこち行ったり来たりするし、単純な表記ゆれも多い。しかし色々知らないことも多か…

本日の購入

秋山さと子 『ユングの性格分析』(講談社現代新書) 大江健三郎 『新しい文学のために』(岩波新書) 古川日出男 『サウンドトラック(上下)』(集英社文庫) 前から読んでみたかった古川日出男をようやく古本市場にて発見。興味あるなら定価で買えよって…

『電脳コイル』(ETV)

通算五度目の視聴。はまってます。 このシーンをどう解釈するかで悩む。 京子もプログラムだったってことなのか。それとも電脳メガネを通してそう見えるだけの擬似的な攻撃なのだろうか。あるいは京子自信へのダメージではなく、電脳空間内にある京子の個人…

『電脳コイル』(ETV)

番宣を見て珍しく興味を持ち、金曜に放送された第一話の再放送と土曜放送の第二話を録画しておいて、今日見てみたらえらく面白かったので色々感想を書いてみたい。 近未来の話ながら、神社や駄菓子屋があり、街並みもことさら古めかしくはないものの、どこか…

本日の購入

中条省平 『小説の解剖学』(ちくま文庫) 中条省平 『小説家になる! 芥川賞・直木賞だって狙える12講』(ちくま文庫) タイトルの露骨さにちょっと躊躇してしまったのだけれど、結構面白そうだったので思い切って購入。どちらか一冊だけにしておいたほう…

ジュンク堂にて

真銅正宏『小説の方法 ― ポストモダン文学講義 ―』を一時間ほど読む。現代文学理論などほとんど知らないはずなのに、「ああ、こういったことは僕も考えたことがある」ということがチラホラとあり、それはつまり全然知らないつもりで、断片的に情報がはいって…

フォークナー/平石貴樹 新納卓也訳 『響きと怒り(下)』(岩波文庫)

傑作。前衛的な語りの手法と高い物語性が見事に融和していて、ガルシア・マルケスや中上健次の痕跡を見いだせたのも楽しかった。 懇切丁寧な訳注(場面転換表、主要出来事年表、コンプソン家見取り図など盛り沢山)のおかげで難解さがだいぶ緩和されているの…

合せ鏡

すっかり日が暮れてしまってから電車に乗ると、向かいの坐席のガラス窓に、こちらの坐席が映り込んでいた。それだけでなく、こちらの坐席のガラス窓に映り込んだむこうの坐席の様子も映り込んでいて、外の光景とこちらとあちらの坐席の三つの風景が、同時に…

本日のひびいか

数日間を開けるつもりが、結局ジェイソンの章も読んでしまう。前のふたつの章に比べると、普通の小説っぽくなるが、これはこれで面白かったりする。

やっぱり穴のないドーナッツ

二度の試行錯誤を経て(ということは月曜から毎日ドーナッツ作ってたってことだ)、どうにか自信を持ってドーナッツだといえるものが出来上がったので、以下にレシピを公開したいと思う。今回作ったのは、穴のあいてないこしあん入りドーナッツ。 1.まずバ…